米ニューヨーク発ダラス行きサウスウェスト航空のボーイング737型機(乗客乗員約150人)の左翼エンジンが17日(日本時間18日)、飛行中に破損して客室の窓ガラスが割れて緊急着陸した事故で、女性客1人が窓から機外へ吸い出されそうになった当時の状況が明らかになった。上半身が機外に出た女性を乗客が機内に引っ張り戻したというが、女性は全身を強く打って死亡した。

 当局の発表や米メディアによると、ニューヨーク発ダラス行きの旅客機が高度約1万メートルを飛行中に左側のエンジンが大きな音を立てて大破し、飛び散った金属片でエンジン付近の窓ガラスや機体が損傷。フィラデルフィア国際空港に通常の時速約250キロを上回る、時速約305キロで着陸した。死亡した女性のほか、乗客7人が負傷した。国家運輸安全委員会(NTSB)が事故原因を調べている。

 死亡したのは、ジェニファー・リオダンさん。目撃情報によると、衝撃音の後リオダンさんが、ガラスのなくなった窓から吸い出されそうになった。乗客の一人は「彼女の胴体の半分が窓の外に出ていた。飛んできた金属片の直撃を受け、ひどく出血していた」と米メディアに証言した。乗客らが体を引っ張って機内に戻したがリオダンさんは意識不明で、心肺機能の蘇生など機内で救命活動が続いたという。

 爆発音から緊急着陸までの時間は約22分間。機体が急激に傾き、機内が減圧する中、乗客は天井から下りてきた酸素マスクを装着。男性客が自分の背中で破損した窓を覆い、減圧を防ごうとしていたという。一部の乗客がすすり泣き、取り乱す中、「大丈夫だ」と冷静になるように呼びかける声も響き渡っていた。家族に手紙を書き始めた人もいた。

 混乱と動揺が広がるなか、男性客の一人は自席でパソコンを立ち上げ、クレジットカード番号を入力して有料のインターネットサービスに接続。フェイスブックにメッセージや動画を投稿した。米メディアに出演したこの男性は「自分にどれだけの時間が残されているのかわからなかったが、愛する人にメッセージを送りたかった。誰に、どの順番で送ろうかと考え、多くの人に同時発信できるフェイスブックを選んだ」と当時の心境を振り返った。

 左側のエンジンが止まったまま同機を緊急着陸させたのは、元海軍パイロットのタミー・ジョ・シュルツ機長。約30年前に海軍でFA18ホーネット戦闘機などの操縦を学んだ最初の女性の一人という。ソーシャルメディアには「彼女の知識と指導力、勇気に深く感謝する」などと、たたえる書き込みが相次いだ。

 NTSBの調査は初期段階だが、エンジンが金属疲労を起こしていた可能性が指摘されている。エンジンは激しく損傷しており、エンジンを覆うカバー「カウル」は飛行中に落下し、フィラデルフィアの北西約100キロの地点で見つかった。(ニューヨーク=金成隆一